平成23年5・6月のお便り

 知床連山には雪が残っていますが、平地ではすっかり雪が解けて今スイセンの花が満開で、初夏の日差しがとても眩しくなりました。皆様はいかがお過ごしですか?こちらはゴールデンウィーク中も休みなしで、家畜の管理も工場の製造業務も例年以上に大忙しでした。工場は発送業務を中心に交替で出勤して休める人は休んでいたのですが、今年は、各お取引先で応援セール等を組んでいただいた関係で、発注数が多くうれしい悲鳴とともに大忙しで残業までしながら納品作業に追われました。お陰さまで、在庫整理も進み少し先が見えて来たように思いますが、経済の情勢が情勢なだけに、どのようになっていくかは予断の許さないところであります。それは、私たちだけではなく日本中がそうなのですから、共に乗り越えていく努力をする以外にはないと覚悟しています。

 農場では、足掛け9年、高校を出てからずっと一緒に働いてくれた小西君が退社し、生産部の方でも人の出入りがあり、なんとなく落ち着きのない日々が続いていましたが、少しずつ新しい流れが出来つつあります。畑では、今年は飼料用の作物の栽培に取り組む第一弾として、菜種・そば・じゃがいも・大豆・小麦を栽培する準備が進んでいます。気候の温暖化とともに牧草しか育たないとされてきたこの根釧地区にこういった作物が栽培できるようになってきたわけです。九州の海では熱帯魚が獲れるという話も聞きます。簡単には後戻りが出来ない気象の変化が、日本列島の風景をも変えようとしています。

 私たちは牛と豚を飼育しているわけですが、この2種類の家畜の特性を今一度洗い直しをしていきたいと思います。放牧する豚は本当は草食動物なのではないかと思われるくらい草が好きです。牧草が生えそろって最初に放牧地に出した時には豚たちは2?3日はほとんど放牧地から帰ってきません。与えられる飼料よりも牧草や土の中にいるミミズや虫の方がずっと御馳走なのです。牛は、アンガスは全く草のみで充分にお腹の子供を育てているし、年をとっても立派に発情が来て妊娠し、15歳を越えてもお産をしている母牛もいます(最近のホルスタインのお産回数は平均で2?3産と言われています)。本来草食動物である牛は、4つの胃袋を持っていて草だけで全ての栄養分を吸収できる仕組みを持っています。人間の都合が優先して本来の家畜の生理を無視して、狭くて効率よく太らせる方法を追求してきた結果、家畜たちには大変な犠牲を強いているのが近代畜産です。人間と家畜の食べ物を競合させないで、必要なものを必要なだけ食していくようすれば、人間の世界で飢餓で亡くなる人もなくなり、家畜ももっとその生理にあった食べ物を食べてストレスなく自然により近い形で育てられるべきです。

 近年、食べものの安全や安心がより強く求められるようになってきていますが、何かピントがずれているような気がしてなりません。滅菌・殺菌・除菌が主要な問題として語られており、本来の食物連鎖を基本にした食の生態系の循環はすっかり忘れ去られています。賞味期限の問題などは、賞味期限は食べる人の舌が決めるものであって、熟成が進めば進むほどに味わいの出てくる発酵食品などには当てはまりません。食べものの安全と安心は、その食べ物が健全であるかどうかが問われていること、本来の自然の恵みの循環の中から生まれた命ある食べ物かどうかが最も重要なことであって、それ以外は付随的なことだと思うのです。生産者と顔の見える関係といって生産者の写真入りのパッケージに入った野菜等が出回っていますが、生産方法は多少の減農薬、減化学肥料で栽培されたものがほとんどです。原発がどんなに恐ろしいものか、事故が起こってみて初めて実感するのでは遅いことはよーく分かりましたが、化学物質アレルギーがもっと蔓延したらやめることを考えだすのでしょうか?もう相当な人々がそういったことに苦しんでいます。紙アレルギーの人すらいます。紙を作る過程で相当な化学物質が使われていることが原因です。

 文明の利器に甘んじないで、暮らしの組み立て直しをしなければならないことだけは確かなことのように思います。さてどこまでやれるでしょうか?あまり自信はないですね。知らず知らず便利さに慣れっこになってしまっていますから。弱気にならずに頑張っていきましょう。

 とても不安定な社会の状況ですが、被災した方々のことを想い、日々の暮らしの確かな一日の積み重ねの中に希望を見出していきたいと思います。


(有)興農ファーム(清水 記)

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